CGER探検隊による研究紹介「噂の研究現場」

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西表島で風船を飛ばすって!?森林の二酸化炭素吸収問題

島の小学校でのゾンデ観測開始

島の小学校は全校10数人です。2学年ぐらいをまとめてを授業を行ってます。なかなか楽しそうです。研究者たちは小学校を観測場所として使わせてもらう代わりに、温暖化についての研究やなぜ風船を上げるか、どうやって上げるかなど生徒を始め先生にも説明したりしています。14時にゾンデ観測を行うときにはまだ授業をやってますが、休み時間を利用して校庭に出てきて観測のちょっとしたお手伝い?を兼ねた見学もやっています。

まずゾンデの観測器具類の準備をするそうです。いろいろ準備があるんですね。

CO2測定器、GPS気象ゾンデ、標準ガス充填バックがとりつけられます。

入念に下準備

風船も膨らませなくちゃ。

これは係留用

これは放球用

飛ばすときに小学生たちがカウントダウンのお手伝い
「5、4、3、2、1」放球!

こんな大きな風船なのに、意外に早く飛んで上がっていくんですね。はじめてみたので驚きました。

機械がどんどんデータを送ってくるのですが、私にはさっぱりわかりません。

シアン

今、どうなっていますか? 大内さん。

大内さん

今順調に5000メートルぐらいまで上がっていますよ。標準ガスと大気と両方測れているみたいです。

シアン

そうですか。まず一安心ですね。

赤い係留ゾンデもきれいです。でも風が強くすぐ撤収。雲が低いです

CO2ゾンデが開始されると同時に、遅野井高度技能専門員がフラスコでの大気採取を行っています。これは、ポンプを使ってガラスフラスコにその時の空気を詰める作業です。自分の息には二酸化炭素が入っているので、空気を採る時には風上にいてはいけないそうです。空気を採るにあたりその中の水分を除去するためにトラップと言われる−20℃に冷やした銅管を通しています。冷たくして、水分を取るんですね。出口のコックを止めて、ブーンと音を立てながら加圧できたら終わりだそうです。

自動車走行でのCO2濃度観測も開始します。自動車での走行は寺尾主任研究員が担当しています。自動車での走行は西表島ドライブですが、これはひたすら一本道を運転し島の西と南を2往復、3往復します。その間、イリオモテヤマネコが飛び出してきてもぶつからないように、細心の注意を払います。普段はこんなに同じ道を繰り返して走らないですよね。ひとりでこの作業をくりかえしていくと、心が折れそうになり、思わずカーナビの音声案内に返答するようになってしまうそうです。もうひとつ寺尾さんの隠れた役割としてガスの運搬があります。ガスは交流センターにしかないので、そこで充填した標準ガス2袋を寺尾さんがドライブしつつ白浜小学校に運んできます。それをゾンデにつけます。ドライブに加えガスの運搬、なかなかに大変なお仕事です。(結局イリオモテヤマネコには会えなかったそうですが、78年以降に通算62件のヤマネコの交通事故、今年に入ってから5件の死亡事故があると聞きました!)