2013年9月号 [Vol.24 No.6] 通巻第274号 201309_274008

地球環境豆知識 22 シェールガス

地球環境研究センターニュース編集局

【連載】地球環境豆知識 一覧ページへ

天然ガスの多くは地下にある砂岩に貯留していますが、シェールガス(shale gas)は地下深く(数百から数千メートル)の頁岩(けつがん)層に含まれています。主成分はメタンで、液化天然ガス(Liquefied Natural Gas: LNG)と変わらないのですが、従来の天然ガスとは異なる場所に貯留しているので、「非在来型天然ガス」と呼ばれています。

シェールガスが世界各地の地下に存在することは以前から知られていましたが、頁岩は堅い岩盤で粒子が細かく液体や気体を通すすきまがほとんどないことから、採掘に高い費用がかかり採算がとれませんでした。しかし21世紀に入り採掘技術が進歩し、生産コストが大幅に下がりました。また、生産量も一気に増え、将来の世界のエネルギー事情を激変する可能性を秘めていることから「シェールガス革命」と呼ばれ、脚光を浴びています。

シェールガスは北米、南米、中国、ヨーロッパなど世界各地で埋蔵が確認されていて、その量も多いと推定されています。シェールガスは今後数百年にわたり、世界のエネルギー需要をまかなっていける可能性があります。推定埋蔵量が最も多いのは中国ですが、現在、生産量が最も多いのは埋蔵量世界第2位のアメリカです。先端の採掘技術をもち、開発が拡大したアメリカは、シェールガスを自国で生産することにより海外からのLNGなど天然ガスの輸入量を大幅に減らすことができると大きな期待を寄せています。

日本はアメリカや中国などの大陸部と比較して地層が新しいため、シェールガスはほとんど出てきませんが、日本企業はカナダなどのシェールガス開発計画に参画しています。

当初シェールガスは石炭や石油よりも二酸化炭素排出量が少なく、地球温暖化防止の観点から普及が望まれました。しかし、シェールガスは二酸化炭素より温室効果の高いメタン(地球温暖化係数は二酸化炭素 = 1、メタン = 21)を主成分とするため、採掘などで大気中にそのまま放出されてしまうと余分に温室効果が増加する可能性があります。また、開発時のエネルギー使用量が多いことと、ガスの採取に伴いメタンなどの成分が地中に漏れ、土壌・地下水を汚染することも心配されています。

ご意見、ご感想をお待ちしています。メール、またはFAXでお送りください。

地球環境研究センター ニュース編集局
www-cger(at)nies(dot)go(dot)jp
FAX: 029-858-2645

個人情報の取り扱いについては 国立環境研究所のプライバシーポリシー に従います。

TOP