2014年8月号 [Vol.25 No.5] 通巻第285号 201408_285007

地球環境モニタリングステーション落石岬20周年 4 坂井宏明さんへのインタビュー

  • 地球環境研究センターニュース編集局

18年間落石岬ステーションの管理を行ってくれている根室市落石在住の坂井宏明さんに、地球環境研究センター大気・海洋モニタリング推進室長の町田敏暢がお話をうかがいました。

町田

いつもステーションのメンテナンスありがとうございます。メンテナンスにおいて苦労していることは何ですか。

坂井

自分の仕事が終わった後にステーションに行くのですが、日が短くなる秋から冬にかけては、暗い中での作業になるので大変です。また、車(専用車両のクローラー運搬車)はもう19年も使用しているので、雨の日で道路の状態が悪い時や、エンジンの調子が悪い時などにはいろいろと苦労します。

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町田

管理作業で気を遣っていることがあれば教えてください。

坂井

落石岬入り口のゲートから先は、旅行者などの車が入れないようにゲートにカギをかけますが、きちんとロックしないと旅行者が間違って入ってくることがあります。トラブルになると困りますから出入りの時には気をつけています。

町田

これまでで最も印象に残っていることは何ですか。

坂井

ステーションができた当初は稼働したばかりの観測機器のトラブルなどで、頻繁にステーションに行きました。冬はゲートからステーションへの道が除雪されていなかったので、下の集落から車を降りてステーションまで歩いたこともあります。滝田隆さん(開局初期から2010年まで管理人を務める)もスキーを履いて通ったそうです。当時は道路がすぐ悪くなったのです。

町田

今のお話を聞くと、落石のデータの重みを感じます。現在でも事情はあまり変わっていないでしょうか。

坂井

今は落石岬の地面自体が乾燥してきていますから、幸い道路は以前のように悪くなりません。雨や雪が少なくなりましたので。しかし、霧は当初と変わっていませんね。

町田

モニタリングステーション、地球環境研究センターのモニタリング事業について地元の人はどう思っているのでしょうか。

坂井

地元には漁師が多いので、漁に出ると船から見えるステーションのタワーが良い目印になっています。地元では環境に関心をもっている人がたくさんいると思います。ただ、普段見ている建物(ステーション)でどんな観測が行われているのかよく知らない人もいます。

町田

地元の小学生を対象として毎年行われるエコスクールや、根室地域の方々を対象とした環境学習会であるエコメッセなどのイベントをとおして、私たちも地元の人たちに施設を公開し、モニタリング事業を紹介してきましたが、さらに多くの人に見学していただける機会を設けたいですね。

最後に地球環境研究センターへの期待または要望などありますか。

坂井

大気観測を継続して、これからも環境問題解決に貢献していただきたいですね。マスコミにもっと公表してもいいと思います。また、ステーションに行く車は19年も乗っていて古くなったので、入れ替えを考えていただければと思います。

町田

車につきましては関係機関と検討したいと思います。今日はこれまでのご苦労などをお聞きできて、落石のデータが多くの方々の支援により得られた貴重なものであることをあらためて感じることができました。ありがとうございました。そして、今後もよろしくお願いします。

目次:2014年8月号 [Vol.25 No.5] 通巻第285号

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