2014年8月号 [Vol.25 No.5] 通巻第285号 201408_285012

酒井広平講師による「検定試験問題を解いてみよう」シリーズ 8 温室効果ガス(その1) —3R・低炭素社会検定より—

  • 地球環境研究センターニュース編集局

【連載】酒井広平講師による「検定試験問題を解いてみよう」シリーズ 一覧ページへ

3R・低炭素社会検定は、持続可能な社会の実現のため、3Rや低炭素社会に関する知識を活かして、実践行動を行う人を育てることを目的としています。【3R・低炭素社会検定 低炭素社会分野試験問題解説集「はしがき」より】

検定試験問題から出題します。

問20地球温暖化メカニズムに関する記述について、最も適切なものはどれか?

中級レベル

正答率 76%

  • 地球放射の赤外線を大気中の温室効果ガスが吸収し、温暖化がおこる
  • 大気中のCO2増加によってオゾン層が破壊され、太陽光が地表に到達するため、温暖化がおこる
  • 対流圏にあるエアロゾルが太陽光の熱を吸収し、温暖化がおこる
  • 太陽放射よりも地球放射のほうがかなり大きいため、温暖化がおこる
ヒント
温室効果ガスは赤外線を吸収しています。
答えと解説

答え: ①

太陽から地球に放射されるエネルギー(太陽放射)のうち30%程度は反射されて宇宙空間に戻っていき、残りの70%程度が地球に入ります。暖められた地表からは赤外線が放射されます(地球放射)。地球の気温は、地球放射が大気中でどの程度吸収されるかによって決まります。つまり、地表面からの赤外線が大気中で多く吸収されればされるほど気温は高くなります。この効果を温室効果と呼びます。水蒸気、二酸化炭素など、温室効果を持つ気体を温室効果ガスと呼びます。もし仮に大気中に温室効果ガスがない場合には、地球の平均温度は−19°Cになってしまいます。つまり、現在の地球の平均気温が約14°Cに保たれているのは、温室効果ガスのおかげです。このように、温室効果ガスは地球気温を保つという重要な役割を果たしているわけですが、近年では、人為的な温室効果ガス排出量の増加により、大気中の温室効果ガス濃度が高くなりすぎており、これが原因で地球温暖化が起こっています。

fig

地球温暖化のメカニズム 出典:3R低炭素社会検定公式テキスト

問21CO2のモニタリングが、1958年から開始された観測所のある場所はどこか?

中級レベル

正答率 61%

  • 人工衛星(宇宙)
  • ハワイ(アメリカ)
  • 南鳥島(日本)
  • カナリヤ諸島(スペイン領)
ヒント
CO2濃度の観測は、太平洋のど真ん中のマウナロア観測所で始まりました。
答えと解説

答え: ②

CO2濃度のモニタリングはハワイマウナロア観測所で1958年から開始され、そこでの大気中のCO2濃度は毎年約0.5%の伸び率で上昇しています(図参照)。その後、CO2濃度のモニタリングは世界中で行なわれるようになっています。

産業革命以前のCO2濃度は約280ppmでしたが、2013年5月にマウナロアで観測された濃度はついに400ppmを突破しました。

fig

ハワイマウナロアの大気中のCO2濃度 米国海洋大気庁・地球システム研究所データ(http://www.esrl.noaa.gov/gmd/ccgg/trends/mlo.html)より国立環境研究所が作成

問22現在のCO2濃度について、最も近いものはどれか?

中級レベル

正答率 68%

  • 約3.9ppm
  • 約39ppm
  • 約390ppm
  • 約3,900ppm
ヒント
産業革命以前は280ppmであり、近年は毎年2ppmのスピードで上昇しています。
答えと解説

答え: ③

産業革命以前のCO2濃度が約280ppmとされており、それと比べて2008年時点のCO2濃度はおよそ40%増加して385ppmとなっております。CO2以外のCH4やN2Oガスも観測されており、CH4濃度は産業革命以前の約715ppbから2008年時点の1797ppbへとおよそ157%増加、同様にN2Oも約270ppbから約321ppbへと19%増加しております。(これらのガスではppm(百万分の1)という単位ではなく、ppb(10億分の1)の単位が使われています。)

CO2濃度などは世界中でモニタリングされており、日本では気象庁の観測地点である綾里(岩手県)、南鳥島(東京都)および与那国島(沖縄県)で観測されており、データは気象庁のホームページで公表されております。

  • *正答率は第5回3R・低炭素社会検定受験者のものです
  • 出典:3R・低炭素社会検定(http://www.3r-teitanso.jp)低炭素社会分野試験問題解説集

温室効果ガスについては、「地球環境モニタリングステーション落石岬20周年 [1]」でも紹介しています。

目次:2014年8月号 [Vol.25 No.5] 通巻第285号

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