2015年2月号 [Vol.25 No.11] 通巻第291号 201502_291002

気候変動枠組条約第20回締約国会議(COP20)および京都議定書第10回締約国会合(CMP10)報告 2 COP20/CMP10での国立環境研究所の展示活動

  • 環境計測研究センター 環境情報解析研究室 高度技能専門員 PANG Shijuan(パン セケン)

国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)報告 一覧ページへ

1. はじめに

南米のペルー・リマにおいて開催されたCOP20/CMP10で、国立環境研究所(以下、国環研)はNGO組織としてサイドイベント、展示、日本パビリオンでの発表を実施しました。以下に展示ブースの状況を中心に報告します。

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写真1UNFCCC COP20/CMP10会場の入場口

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開催地のリマ

2. COP20/CMP10とは

1992年に採択された国連気候変動枠組条約(United Nations Framework Convention on Climate Change: UNFCCC)は大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを目指す国際合意です。その締約国会議(Conference of the Parties: COP)は1995年の第1回(ドイツ・ベルリン)以降毎年開催され、今回が20回目となります。UNFCCCの現在の締約国は195カ国です。

また1997年に開催されたCOP3(京都)では先進国の拘束力のある削減目標を規定した京都議定書(Kyoto Protocol)が合意されました。2005年からは京都議定書締約国会合(The Conference of the Parties serving as the meeting of the Parties to Kyoto Protocol: CMP)が毎年開催されています。CMPは今回が10回目になります。

195カ国から14,000人以上が参加したCOP20/CMP10では、特に2020年以降の取り組みについて議論が行なわれ、「気候行動のためのリマ声明」(Lima Call for Climate Action)が採択されました。

京都議定書の第2約束期間が終了する2020年以降の気候変動対策の国際的な枠組みについては2015年末までに決めることになっていますが、「リマ声明」では2015年のCOP21(フランス・パリ)の前に各国から提出される温室効果ガス削減に関する約束草案に含める情報等について定めています。また新たな枠組みに関する文書案も「リマ声明」に別添されました。さらに途上国による温室効果ガス排出の削減や気候変動の影響に対する適応を支援する「緑の気候基金」への拠出額が100億米ドルを超えたことも報告されました。

なおCOP20の背景や交渉経緯、今後の展望等については http://www.nies.go.jp/event/cop/cop20/index.html 等をご参照下さい。

3. 国環研の展示ブース

国環研はCOP20/CMP10会場の展示ブースにて、アジア太平洋統合評価モデル(Asia-Pacific Integrated Model: AIM)、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(Greenhouse gases Observing SATellite: GOSAT)及び温室効果ガス観測衛星技術衛星2号(GOSAT-2)による最新の研究成果・計画等を展示しました。

第1週(12月1日(月)〜6日(土))には、GOSATの5年以上にわたる全球の二酸化炭素及びメタンの吸収排出量の観測データの詳細および入手方法や、「いぶき」の後継機であるGOSAT-2の最新要求仕様と期待される成果を紹介しました。またAIMによる最新の研究成果のパンフレットなどを見てワーキンググループ等への参加を希望される方々もいました。

第2週(12月8日(月)〜12日(金))には、12月4日の記者発表(温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)による大都市等における二酸化炭素観測データと人為起源排出量との関係について)の紹介も行いました。記者発表の詳細については http://www.gosat.nies.go.jp/jp/related/2014/201412.htm をご参照下さい。

展示ブースでは横田室長(衛星観測研究室)がペルーテレビのインタビューを受けました。また各種電子ファイルを納めたUSBメモリとともに国環研の研究者がデザインしたエコバッグ、間伐の樹木で作ったブックマークなども、大変好評でした。

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写真2展示ブースで横田室長が国環研の研究成果を紹介している様子

4. まとめ:COP20/CMP10の展示活動を通じて

国環研の展示ブースを訪れた各国の代表の方々が、衛星による温室効果ガスの全球観測データやAIM、低炭素社会構築のシナリオに興味を持たれたことを強く感じました。今後もCOPの展示活動を通じて世界中の多くの方々に当研究所の研究成果を紹介し、地球温暖化対策・温室効果ガスの排出削減への努力に貢献していきたいと思います。

目次:2015年2月号 [Vol.25 No.11] 通巻第291号

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