2018年7月号 [Vol.29 No.4] 通巻第331号 201807_331009
観測現場発季節のたより 13 苫小牧の雪融け、そして観測へ
地球環境研究センターは、2000年から北海道大学と共同で、苫小牧の国有林において炭素収支の長期観測を行っています。本サイトはもともとカラマツ林でしたが、2004年9月の台風で多くのカラマツが倒伏してしまいました。現在はシラカンバなどの木本植物が成長を始めており、植生の回復過程にあります。この森林跡地で、植生の回復に伴って炭素収支がどのように変化するのかを明らかにするために、地道な観測研究が進められています。
その一環として、土壌からのCO2排出量や、植物の光合成量を測定するために、台風によるカラマツ林倒伏後の2005年から、例年4月に観測機器(チャンバー)を設置しています。北海道大学の平野高司教授をはじめ、研究員や学生の方々の御協力で、今年も無事にチャンバー設置を終えることが出来ました。これから冬まで、チャンバーが貴重なデータを取り続けてくれます。積雪があると観測ができず、チャンバーも破損しますので、11月にはチャンバーを回収します。
作業を終えて、観測タワーの上からサイトを見ると、設置したチャンバーの向こうに、雪をかぶった北海道の山々が見えました。まだ朝夕は冷え込み、緑が少ない苫小牧サイトですが、これから暖かくなるにつれて、木々が彩りを増してくるでしょう。