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中核研究プロジェクト2 衛星利用による二酸化炭素等の観測と全球炭素収支分布の推定

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概要

 温室効果ガスの観測を目的として日本が打ち上げた温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)の取得データから、二酸化炭素・メタン等のカラム濃度の全球分布を高精度に導出する。そのため、データ処理手法の開発・改良とデータ質の評価・検証を行う。更に、衛星観測データと地上で取得される測定データとを併せてインバースモデルに適用し、地域別炭素フラックスの推定誤差の低減と時間・空間分解能の向上を図るとともに、炭素収支の全球分布を求める。

温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)の観測と炭素収支分布推定

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サブテーマ1:衛星観測データの処理アルゴリズム開発・改良研究

 GOSAT搭載のフーリエ変換分光器によるスペクトル観測データと、雲・エアロゾルの状況を把握するための画像センサの観測データ、更に気象観測データ(気温・水蒸気量などの客観解析データ等)などから、温室効果ガス(二酸化炭素,メタン)のカラム濃度を推定する手法(アルゴリズム)を研究開発する。また、カラム濃度を導出する際の誤差要因を評価し、それを補正するアルゴリズムを開発する。衛星打ち上げ前は、計算機シミュレーションやサブテーマ2で得られる航空機や地上での擬似データを用いて、手法の検証や導出精度の評価に基づいた改良を行う。衛星打ち上げ後は、検証実験データや他衛星データとの比較により、データ処理アルゴリズムと参照データ(太陽光源データ、気体の吸収線パラメータ情報、エアロゾルパラメータ情報、地表面反射率データベース等)を改良・修正する。

サブテーマ2:地上観測・航空機等観測実験による温室効果ガス導出手法の実証的研究

 衛星搭載用に開発される機器に類似した性能を持つセンサを用いて、地上または航空機で温室効果ガスの観測を行い、取得したデータをサブテーマ1で開発するアルゴリズムを基本にして解析する。また、類似性能センサの観測と同期して温室効果ガスや気象要素、水蒸気量やエアロゾル量などの解析の誤差要因となる要素を直接測定し、その結果と前述の解析結果とを比較する。これにより、アルゴリズムの検証とデータ処理上の精度評価がなされ、ここで得られる情報をデータ処理アルゴリズムの改良に反映する。衛星打ち上げ後は、衛星データの処理結果と検証実験から得られるデータなどとの比較解析により、衛星観測データから導出されるデータ質の評価を行う。その評価結果は、サブテーマ1のデータ処理アルゴリズムの改良に反映する。

サブテーマ3:全球炭素収支推定モデルの開発・利用研究

 二酸化炭素やメタン濃度の地上観測データに加えて、それらのカラム量に関する衛星観測による全球データを用いて、亜大陸規模(数千km四方の区域)での二酸化炭素やメタンの地表面収支を算出するインバースモデルを研究開発する。併せて、そのモデル計算に必要なサブモデルや初期値データを整備する。具体的には、(a) プロセス研究に基づく各種の生物圏フラックスモデルとそれに必要なGISデータ、(b) 大気-海洋間の二酸化炭素分圧差(ΔpCO2)の測定値に基づく海洋フラックスマップ、(c) 国別・地域別温室効果ガス排出インベントリデータに基づく人為排出のグリッドデータなどである。初期値データやサブモデルと大気の移流計算に必要なパラメータ情報(気温、気圧、風向、風速など)を組み合わせて、フォワードモデルにより、各地点・各時点の大気中の二酸化炭素濃度分布を計算する。その結果は、サブテーマ1のカラム濃度導出の際の初期値として利用する。また、フォワードモデルとは逆の目的で、ある地域で放出される二酸化炭素がどのように広がるかの応答関数を地点別にあらかじめ求めておき、信頼性が高いが限定された地点での直接測定データと、精度は劣るが全球で得られる衛星データから算出されるカラム濃度とを拘束条件として、陸域生態系のフラックスモデルなどのパラメータを適切な範囲でチューニングして、フォワードモデルの結果に合うように地域別の二酸化炭素の吸収量・排出量すなわち炭素収支分布を求める。以上のように衛星観測データを利用して求めた全球の炭素収支推定結果が本サブテーマの最終アウトプットである。

研究成果の紹介

平成22年度
平成21年度
平成20年度
平成19年度
平成18年度

本中核プロジェクトと連携した研究活動へのリンク

GOSATプロジェクトのホームページ
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