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自然界での物質循環や気候変動によるフィードバック効果を考慮した温室効果ガス濃度の将来予測に資するため、それらの発生・吸収/消滅源の空間分布や濃度、フラックスの長期的変動を観測から明らかにする。特に、アジア(シベリアも含む)-オセアニア地域での陸・海・空に展開した広い観測網による温室効果ガス(CO2、CH4、N2O、フッ素系温室効果ガス等々)や関連するトレーサー物質の時空間分布やそれらのフラックスの長期的変動を捉えることにより、濃度変動を引き起こすメカニズムやその地域的な特性を解明する。
民間航空機や太平洋に定期航路をもつ貨物船を用いて、温室効果ガスや酸素、同位体比、その他関連物質の緯度分布及び水平・鉛直分布を広域的かつ長期的に観測する。また波照間(沖縄)や落石(北海道)のモニタリングステーションを利用して、各種関連物質の高頻度の時系列の観測を行う。これらにより、グローバルな温室効果ガス分布の変化や濃度変化の緯度別傾向、二酸化炭素の陸域・海洋の発生吸収源の分離、温室効果ガスの収支の長期変動の原因、シベリアなどを含むアジア-オセアニアの地域的発生源の特徴などを解明する。
北太平洋や西太平洋において海洋と大気間の二酸化炭素分圧差を観測し、海洋への二酸化炭素吸収フラックスを求め、海域的分布や季節変化、年々変化という側面から環境因子との関係を定量的に解明する。 陸域における炭素循環のメカニズムをプロセス毎に分離して測定するために、新たな手法の開発を行う。これによって、より現実に近い陸域炭素循環変動のパラメータを見つける。また、実際のアジア地域での陸域生態系による二酸化炭素吸収量の長期的変動とその原因を明らかにするため、中国大陸に大きな面積を有する草原やシベリアなどの重要な吸収源において種々の観測を行い、大気中に現われる濃度の変動と各圏におけるフラックスの変化等、人間活動や気候変動などの環境因子との関係を解析する。
広域大気観測で得られたデータを基に、地域的なフォワードモデルやインバースモデル解析を行い、分布や時系列変動観測とモデルとの整合性を検証する。この結果を基にチューニングしたモデルを用いて本観測データからアジア地域の地域的フラックスの特徴を解析する。それを基礎にして、温室効果ガスの大気中における増加量変化を地域的発生量変化やグローバルな気候変動によって合理的に説明できるよう、これまでの物質循環モデルに関するパラメータを吟味する。