地球温暖化研究プログラム ENGLISH

関連研究プロジェクト

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1.過去の気候変化シグナルの検出とその要因推定

 十年以上の時間スケールを持つ長期気候変化のメカニズム解明に資するために、様々な気候変動要因を考慮した複数の20世紀気候再現実験結果と長期観測データとを比較解析することにより、過去に観測された長期気候変化シグナルを検出し、その要因を推定する。具体的には、

  1. 近年の温暖化傾向が人為起源の気候変動要因に起因することの、より確度の高い情報を提供する。
  2. 自然起源の気候変動要因に起因する気候変化の不確実性の幅を定量的に評価する。

2.太平洋小島嶼国に対する温暖化の影響評価

 環境変動に対する脆弱性が極めて高いと考えられる太平洋の島嶼国を対象として、リモートセンシングデータを活用した地形及び土地利用のマッピングとともに、全球規模で州島の形成維持に関わる要因の収集及び解析を行い、地形の形成維持プロセスを明らかにする。それに基づいて、現在及び将来の環境変動と経済システムの変化による応答を予測し、持続可能な維持のための方策を提案する。具体的には、

  1. リモートセンシングデータを活用した、地形図・土地利用図・沿岸環境に関する基本的なインベントリマップの作成方法の開発とそれに基づくマッピングを行う。
  2. 環礁州島の形成維持に関わる自然、人文要因の全球規模での収集を行い、マッピング結果との関連を解析し、環礁州島の形成維持に重要な要因を抽出する。
  3. これらの関係に基づいて、温暖化に対する環礁州島の応答を予測し、持続可能な維持のための方策を提案する。

3.温暖化に対するサンゴ礁の変化の検出とモニタリング

 近年、サンゴ礁では、共生している藻類が放出される白化現象が多数観察され、地球規模でサンゴ礁が衰退していることが報告されており、温暖化とともに、ローカルなストレスとの複合が原因として考えられている。白化現象を起こす地理的要因を明らかにするため、現地観測データや航空機、衛星センサー等リモートセンシングデータを用いた、サンゴ礁の変化の監視のためのアルゴリズム開発を行い、広域かつ継続的なサンゴ礁のモニタリングの実施に資する。具体的には、

  1. 放射伝達モデルによるシミュレーションや衛星データの新たな解析方法の開発等により、衛星データの活用方法を提案する。
  2. 現地観測データと衛星データの効率的な補完的利用法・利用体制に関する検討を行う。
  3. 既存データ及び将来取得される衛星データ等を用いた広域かつ継続的なサンゴ礁のモニタリングを行う。

4.温暖化の危険な水準と安定化経路の解明

 今世紀中頃(2050年頃)までに重点をおきつつ今世紀末までを対象として、種々の温暖化抑制目標を前提とした場合の、「危険な影響」が発生する可能性とその発生時期を提示することを目的とし、温室効果ガス濃度安定化等の温暖化抑制目標と、それを実現するための経済効率的な排出シナリオ、及び同目標下での影響・リスクを明らかにする。具体的には、

  1. 「危険な影響」を如何に決定すべきかについて、衡平性、予防原則、不確実性等の観点から、新たな方法論・概念の開発を試みる。
  2. 農業、水資源、植生、健康の4分野について、全球規模の影響評価モデルの開発・改良を行い、気温・降水が将来、段階的に変化すると仮定した感度分析シミュレーションの結果を利用して、国別の気温・降水量変化を説明変数とする分野別影響関数(世界)を開発する。
  3. 濃度安定化等の温暖化抑制目標とそれを実現するための経済効率的な排出シナリオ、及び同目標下での影響・リスクを総合的に解析・評価するための統合評価モデルを開発する。
地球環境研究総合推進費戦略的研究プロジェクト「温暖化の危険な水準及び温室効果ガス安定化レベル検討のための温暖化影響の総合的評価に関する研究」成果報告書(平成20年5月29日発表)

5.日本における土壌炭素蓄積機構の定量的解明と温暖化影響の実験的評価

 黒ボク土を初めとする日本特有の土壌における炭素蓄積機構の解明及び炭素貯留の持続性を検討に資するため、放射性炭素同位体をトレーサーに土壌画分毎の炭素量と滞留時間(分解率)のデータ収集を行う。このため、日本の代表的な土壌を数地点選定し、土壌画分毎の滞留時間(分解率)を求めるための物理・化学的な分画法の検討を行う。

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