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信頼性の高い気候モデル、影響モデル、及び陸域生態・土地利用モデルの開発と統合利用を行い、短中期スケールについては、極端現象を含む気候の変化及びその影響の予測に基づく適応策及び森林吸収源対策の検討に資すること、長期スケールについては、気候感度及び気候‐炭素循環フィードバックの不確実性を考慮した気候安定化目標の検討に資することを目的として、地球温暖化リスクの総合的な評価を行う。
これまで東京大学及び海洋研究開発機構との共同で開発してきた気候モデルを更に発展させ、より高度な利用を図る。近未来予測に関しては、高解像度モデルを用いた熱波や大雨といった極端現象の予測や地域的な予測を進め、特にアンサンブル予測による確率的表現や変化メカニズムの解明により予測の信頼度を高める。長期予測に関しては、20世紀の変動の再現実験を含む様々なモデル検証や雲などのプロセス検証を通じて、気候感度及び気候-炭素循環フィードバックの不確実性の低減を図るとともに、それらの不確実量についての確率的表現を考慮した気候変化シナリオを構築する。また、影響モデルと土地利用モデルに気候変化シナリオを提供し、逆に土地利用モデルにより提供される土地利用変化シナリオを組み込んだ気候変化予測を行う。
全球を対象地域として開発してきた分野別(水害・水資源・食糧生産・健康)影響評価モデルの高度化と連結を行い、より現実性のある影響評価を行う。その際、サブテーマ1が提供する気候変化予測、サブテーマ3が提供する土地利用変化予測、並びに中核プロジェクト4の提供する社会経済発展シナリオを、評価の前提条件として用いる。近未来予測に関しては、影響モデルの高度化(例えば日別気候シナリオの利用)により、温暖化に伴う熱波や大雨といった極端現象の変化による社会的影響を評価する。長期予測に関しては、サブテーマ1により定量的に示される気候変化予測の不確実性を基に、確率的表現による温暖化影響のリスク評価を行う。また、いくつかの安定化目標について、目標別に影響評価を行う。更には、その影響評価結果に基づき、地域別の適応策の検討・提案を行う。
全球を対象とした陸域生態系モデル(Sim-CYCLE)の拡張と高度化を実施し、気候変化が生態系の構造や炭素収支に与える影響と、その変化による大気へのフィードバック効果を推定する。現在考慮されていない各種の陸域生態系への影響因子や撹乱要因を扱えるようにモデルを高度化するとともに、リモートセンシングを活用した土地被覆情報等の入力データの高精度化も並行して進める。 また、社会経済発展シナリオをメッシュ情報にダウンスケールしたものと、気候変化による水循環や生態系(森林・農地)の変化を入力条件として、全球の土地利用変化をメッシュ単位(50km程度)でシミュレーションするモデルを開発する。これは、林地・農地間の土地利用転換が長期的には主に経済的な要因に支配されると考え、気候変化と経済発展の両方を考慮して土地利用変化を予測するモデルであり、その結果を気候モデルにフィードバックする。