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中核研究プロジェクト3 気候・影響・土地利用モデルの統合による地球温暖化リスクの評価

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〔平成20年度の成果の紹介〕

世界の農地変化シナリオの開発

 下図は、2000年、2050年、2100年において、すべての土地で農地が占める割合を表しています。赤い地域ほど農地が多く存在しています。2000年から2050年の間に世界的に農地が増え、特にアフリカで顕著な増加が見られます。この予測は、統合評価モデルと土地利用モデルの連携によって得られたものです。このほかにも、森林や牧草地、都市の将来予測を行っていますが、いずれもアフリカにおける変化が最も顕著になっています。

土地に占める農地の割合 (2000年、2050年、2100年)

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土地に占める農地の割合(2000年、2050年、2100年)

雲の分布をより正確に計算する

 気候モデルを用いた将来の気候変化予測で一つの鍵となるのは、「雲の分布がどう変わるか」ということです。そこで、予測の信頼性を高めるために雲の計算方法を精緻化しました。気候モデルでは、一つのグリッドの中に水蒸気が濃いところや薄いところが空間的に分布し、濃いところに雲が存在すると考えます。従来、グリッド内部の水蒸気のばらつき具合は時間的に変わらないと仮定していましたが、今回は、その変化を予報できるように改良しました。その結果、積乱雲の発達や雲氷の落下に伴って、グリッド内部の水蒸気のばらつき具合が変わる様子を表現できるようになりました。

 
気候モデル MIROC4.1 で計算した水蒸気分布の歪度の変化速度(赤青の濃淡)および雲量(黒の等値線)

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気候モデル MIROC4.1 で計算した水蒸気分布の歪度の変化速度(赤青の濃淡)および雲量(黒の等値線)

歪度は、水蒸気分布が濃い方や薄い方に偏る度合いを示します。
(a)積雲対流による歪度変化速度
(b)雲微物理過程による歪度変化速度

収量の長期トレンドを推計可能な農業影響評価モデルの開発

 将来の食料安全保障を議論する上で、品種改良や肥料投入量の変化による収量変化を考慮することは非常に重要です。そこでわれわれは、既存の作物生長モデル(EPIC)をベースに、品種改良と肥料投入量の変化による収量の長期トレンドを推計可能な農業影響評価モデルを開発しました。ジャカルタ(インドネシア)の水稲を対象に行ったモデル検証実験では、このモデルが過去40年の実測収量の増加トレンドをよく再現できることが明らかとなっています。

水稲収量の推計値と実測値の比較
(1961-2000年;ジャカルタ(インドネシア))
 
水稲収量の推計値と実測値の比較(1961-2000年;ジャカルタ(インドネシア))

 上図はジャカルタにおける1961年から2000年までの水稲収量に関して、実測値とモデルによる推計値を比較したものである。ただし、ここでは実測値として国連食糧農業機関(FAO)のインドネシア全体の平均値を用いています。

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