2020年3月号 [Vol.30 No.12] 通巻第351号 202003_351008
令和元年度スーパーコンピュータ利用研究報告会を開催しました
地球環境研究センター(以下、センター)は、令和元(2019)年12月25日(水)に国立環境研究所(以下、研究所)地球温暖化研究棟交流会議室で令和元年度スーパーコンピュータ利用研究報告会(以下、報告会)を開催しました。研究所では、将来の気候変動予測や炭素循環モデル等の研究開発、膨大なデータを扱う衛星データ解析、その他の基礎研究などを支援する目的で、スーパーコンピュータ(以下、スパコン)を所内に整備・運用し、所内外の環境研究者に計算資源を提供し、スパコンがなければ実現できない研究成果を生み出してきました。
研究所のスパコンの利用・運用方針などは、「スーパーコンピュータ研究利用専門委員会」(以下、専門委員会)により審議を行い、その意見を踏まえて、所内外のスパコン利用希望ユーザーから申請された研究課題について、スパコン研究利用の可否を判定しています。そして、利用が認められたユーザーには、年に一度、当報告会での報告が義務付けられています。
報告は、毎年、所内及び所外利用の課題代表者(またはその代理)によって行われています。今回は、所内課題7、所外課題4、合計11課題における最新の研究成果が報告されました。国際プロジェクトである大気海洋結合モデル相互比較実験計画(CMIP6)に関連した「MIROC6モデル」の気候感度の外部因子(エアロゾル、オゾン、大量活動など)依存性・時間変化に関する計算・解析、エアロゾルの鉛直分布を同化した大気汚染予測システムの開発、モデルを用いた瀬戸内海の水温と一次生産量のシミュレーション・将来予測などの報告が行われました。例年と同様、専門委員会委員および参加者からの活発な質疑応答があり、さまざまな立場からの貴重な意見により、スパコン利用をさらに発展させ、環境研究を進める機会とすることができました。またこれらの研究成果は、現在の環境研究におけるスパコンの重要性をあらためて示しました。
当日報告された内容の詳細については、センターのウェブサイト(http://cger.nies.go.jp/ja/activities/supporting/supercomputer/)をご参照ください。上記サイトには、過去の報告会における発表内容に関する情報も掲載されています(令和元年度分も近日中に掲載予定ですが、発表者の意向により一部掲載されない情報もあります)。
なお、平成27(2015)年6月より6年半の期間にわたって運用されたNEC SX-ACE機は令和元(2019)年11月30日で運用を終了しました。令和2(2020)年3月2日からは新しい機種NEC SX-Aurora TSUBASAが稼働します。新機種を利用したさらなる研究の進展が期待されます。