地球温暖化研究プログラム ENGLISH

中核研究プロジェクト4 脱温暖化社会の実現に向けたビジョンの構築と対策の統合評価

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〔平成18年度の成果の紹介〕

 将来の気候安定化に向けて、2013年以降の国際的取り組み、2050年を視野に入れた脱温暖化社会の実現、そして長期的な気候の安定化目標といった、様々な議論が現在行われています。本プロジェクトは、これらの課題に対して、温暖化対策を総合的に評価し、情報を提供しています。
国際情勢の動向

脱温暖化社会(低炭素社会)の実現に向けた2050年の日本は?

 技術イノベーションと社会そのものを変革するような社会イノベーション(住みやすい街づくりなど)を織り込んだ2050年の望ましい将来を想定し、その社会でのサービス需要を満足しながらCO2排出量を1990年に比べて70%削減し、豊かで質の高い低炭素社会を構築することが可能なことを明らかにしました。CO2排出量70%削減は、エネルギー需要の40〜45%削減に加えて、エネルギー供給源の低炭素化によって実現できます。大幅なエネルギー需要の削減は、エネルギー利用機器の効率改善、合理的なエネルギー利用、人口減などによって、実現することができます。

低炭素社会における家庭 −快適な居住空間と省エネの両立−
低炭素社会における家庭
2050年CO2排出量70%削減を実現する対策オプションの検討例

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2050年CO2排出量70%削減を実現する対策オプションの検討例

気候変動政策を目的とした2013年以降の国際的枠組みは?

 京都議定書は2008-2012年の排出抑制目標だけを定めており、2013年以降の削減に関しては今後の交渉に委ねています。そのため2013年以降の国際的取り組みが早急な課題となっており、世界各国で多数の提案が出されています。提案に関する調査をしたところ、提案の“多数派”は数年ごとに変わっており、現実世界の動向に敏感に反応して変化していることがわかりました。

 
2001-03年の調査
2004-05年の調査
2006-07年の調査
提案の背景と全般的な特徴 米国が京都議定書から離脱し、議定書の発効が危ぶまれた時期。京都議定書と全く異なる制度提案の割合が多い。 ある程度、多様な提案が出揃い、提案間の比較をする論文が増えた時期。京都議定書発効の見極めの時期でもあり新提案は少ない。 京都議定書発効後、京都議定書の存在を前提とした制度提案に。望ましい制度のみならずそのような制度に至る交渉方法に関する手続き論も。
代表的提案あるいは論文、報告書 Contraction & Convergence
Multi-Stage -Approach
Hybrid Approach
Climate Marshall Plan
Technology Fund
Dynamic Target
Bodansky and Chou (2004)
Ott, Winkler et al (2004)
Hohne and Lahme (2005)
Kuik (2005)
CEPS Task Force Group (2005)
IISD (2005)
BASIC Project (2006)
Policy INDABA (2006)
CCAP sectoral approach (2006)
IEA/OECD (2006)
MATCH Project (2006)
WRI (2006)
評価 最も多様で共通点の少ない提案が提示された時期。現在の提案の多くの原型はこの時期から見られている。欧州と米国の研究者で全く違う傾向。 多様な提案をモデルに組み込み定量化を目指した研究と、「排出量」「技術」排出量取引制度」など項目ごとに個別に議論を展開するタイプに分かれる。 気候変動枠組条約と京都議定書の二本立てのプロセスを踏まえた議論に。条約あるいは議定書をどのように改正するか、という観点からの議論も。

アジア地域の温暖化対策への展開

 日本で開発した各種モデルを、トレーニングワークショップなどを通じて、アジアに移転しています。そして、アジアの共同研究者が各国の事情に基づいて、温暖化対策の効果についてモデル分析をしています。例えば、中国では、2005年から2 0 1 0年までにエネルギー集約度(GDPあたりのエネルギー消費量)を20%改善するという中国政府の目標について分析しました。今後も高いGDP成長率が続くとすると、エネルギー効率の高い技術が導入されるとしても2010年までに12.3%しか改善できず、さらなる技術開発や政策の組み合わせが必要であることがわかりました。

中国におけるエネルギー集約度
中国におけるエネルギー集約度
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