地球温暖化研究プログラムトップページ > 中核研究プロジェクト4トップページ > 平成20年度の成果の紹介
どの時期に、どのような手順で、どのような技術や社会システム変革を行えば、2050年の日本低炭素社会を実現できるのでしょうか。また、それを支援する政策としてどのようなものがあるのでしょうか。 「低炭素社会に向けた12の方策」報告書は、目指すべき2050年の将来像、現時点における障壁と将来像に向けた段階的戦略、それらの行動をまとめた手順書です(図)。例えば、方策1の「快適さを逃さない住まいとオフィス」を実現するためには、住みやすく環境性能の良い建築物をデザインする建築家、建築家の設計する家やオフィスを建てる建設会社・大工、「快適さを逃さない住まいとオフィス」を積極的に購入する消費者が必要です。行政は、住宅エネルギー性能評価による「見える化」を実現するラベリング制度の導入と普及、デザイナー・コンストラクターへの適切な指導、高性能住宅購入へのインセンティブ付与などを適切なタイミングで行うことで、目指すべき将来像に向けて、各主体をリードすることができます。12の方策をうまく連携させることが低炭素社会実現の鍵になります。
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京都議定書は2008〜2012年の排出抑制目標だけを定めており、2013年以降の削減に関しては、2009年末での合意を目指して交渉することが2007年末のバリ会合(COP13)にて決定されました。多種の国際協力が進展する現在、その適切な役割分担が成功の鍵といえます。
気候変動枠組条約の附属書T締約国全体の2020年の温室効果ガス排出量の目標を1990年比25%減としたときの、主要国の排出量について分析しました。附属書T締約国各国の限界削減費用が均等になるように分析した場合、その限界削減費用は166ドル/tCO2となり、日本、米国、EU25、ロシアの排出量は1990年比で5%減、24%減、27%減、32%減となりました。一方で、GDP当たりの総削減費用が均等になるように分析した場合、 2020年のGDPに対して総削減費用が占める割合は約1%となり、日本、米国、EU25、ロシアの排出量は1990年比で17%減、18%減、31%減、31%減となりました。このように、附属書T締約国全体の排出削減目標が1990年比25%減と同じ条件でも、その評価指標の違いによって、各国の排出削減量の負担分担が異なります。